組織力を高める5つの方法|チーム力の向上に成功した企業事例を紹介

最終更新日: 2024/04/19 公開日: 2024/04/19

組織力とは、社員が一丸となって組織の目標を実行する力のことです。

組織力を高めることで、企業はビジネスの変化に柔軟に対応しながら、適切な判断を迅速にできるようになります。組織力の向上に取り組むことは、企業成長に欠かせない要素です。

本記事では、組織力を高める必要性と組織力が高い組織・低い組織の特徴や向上させる方法を解説します。

組織力を高める具体的な取り組みを行う企業事例も紹介しますので、ぜひご覧ください。

組織力とは

組織力とは、社員が一丸となって力を合わせることでそれぞれが自分の役割を理解し、会社の目標に向かい協力する力を指します。

組織力がある会社は、様々な問題にも柔軟に対応できるため、企業が成長しやすいものとされています。

例えば、会議の日程を決めるだけでも組織力が必要です。社員全員の予定を考えて、最適な日時を決める工程がスムーズに行えれば、会議が有意義な時間になります。

加えて、会社の備品を新しくする場合も必要なものを決め予算内で購入する決断が必要です。このような日々の小さな決断も組織力があれば迅速に進みます。

組織力を高めるには、コミュニケーションがとても大切です。社員同士がお互いを理解し情報を共有することで、意思決定のスピードが上がります。そして、それは社員一人ひとりの能力を超えた会社全体の力となって現れるのです。

組織力を高めることが必要な背景

組織力の強化が必要とされる背景は、ビジネス環境がVUCAと呼ばれる新しい時代に入ったからです。

  • V:Volatility(変動性)
  • U:Uncertainty(不確実性)
  • C:Complexity(複雑性)
  • A:Ambiguity(曖昧性)

これらのように頭文字を取ったものです。この言葉は、今の世の中がどれほど速く変わり、予測が難しいかを表しています。

VUCAの時代には、変化に強い組織力がなければ企業は生き残ることが難しいとされています。だからこそテクノロジーに頼らざるを得ないということでもあります。

テクノロジーの進展や働き方の変化は、企業が柔軟に対応する能力を高めるきっかけとなります。

組織力の高い企業の特徴

次に、組織力が高い企業の特徴を紹介します。

人間関係が良好で心理的安全性が高い

組織力が高い企業は、社員同士が良い関係を築いていて、心理的安全性が高いです。

心理的安全性が高いと社員が自分の考えをオープンに話せるようになり、新しいアイデアが生まれやすくなります。

ピクサー・アニメーション・スタジオを例にすると、社員が自由にアイデアを出し合い、失敗を恐れずに新しいことに挑戦する文化があります。その結果、多くのヒット映画を生み出しました。

社員がお互いを信頼し合い安心して意見を言い合える環境は、会社が目標を達成するのを助けます。

積極的なコミュニケーションがある

組織力の高い企業では、コミュニケーションが活発です。

活発なコミュニケーションは、情報共有を円滑にするため社員同士のアイデアや意見の交換が増えます。

例えば製造業の場合、生産チームと販売チームとの積極的なコミュニケーションは在庫管理に役立ちます。販売チームが生産チームに需要予測を正確に伝えれば、生産チームはそれに応じて生産スケジュールを計画できるからです。

結果として、在庫切れや過剰在庫を防げてスムーズな業務遂行につながります。

透明性を持ってコミュニケーションを取ることで信頼が生まれ、社員は目標に対して積極的に貢献するようになります。

企業と社員が目標を共有している

組織力の高い企業では、経営陣と社員が共通の目標を共有しています。

共有された目標は、全員が一致団結して努力する強いモチベーションになります。組織の一体感が強まり、個々の努力が企業全体の利益に結びつくのです。


Googleでは「世界中の情報を整理してアクセスしやすくする」という共通のビジョンを持っています。組織内での役割やレベルに関係なく社員一人ひとりがこの目標に貢献しようとするのです。

目標は発売するすべての製品、提供するすべてのサービス、そしてすべての行動に反映されています。

社員への目標の共有は、社員が会社のビジョンへの貢献を実感できるようにして組織の結束を高めます。

人材育成制度が整備されている

組織力の高い企業は、社員の教育と育成に注力しています。充実した人材育成制度は、働きがいと忠誠心を高め、スキル向上にもつながります。

ゼネラル・エレクトリックを例にします。

「クロトンビル」と呼ばれる企業内のビジネススクールを運営しています。さまざまなレベルの社員が、リーダーシップ能力の向上を目的とした研修プログラムに参加しているのです。このような人材育成への投資により、長年にわたり、会社の目標達成を推進できるリーダーを着実に育成してきました。

人材育成制度を整えることは、持続的に組織力を強化できます。

組織力が低い企業の特徴

次に、組織力が低い企業の特徴を紹介します。

目標や目的が明確に定義されていない

組織力の低い企業では明確な目標や目的が設定されていません。

明確な目標や目的がなければ、組織がリソースを効果的に調整し進捗状況を管理することは難しくなります。

例えば、あるスタートアップ企業が「市場に違いをもたらす」という曖昧な目標を持っていたとしましょう。しかし、これだけではそれが何を意味してどのように達成するかが明確でなく、成功への道筋が見えません。

明確な目標がない企業は目指すべき方向制が定まらないため非効率です。

社員同士のコミュニケーション不足

組織力が低い企業では、社員間のコミュニケーションが不足しています。これが起こる主な原因は、率直な対話や情報共有を重視しない文化が根付いていることです。

他にも、情報の共有不足により組織の変化や最新情報が社員に伝わらないと、社員は業務を不確かな中で進めなければなりません。これでは、不満が生じ作業も効率よく進められないでしょう。

社員同士のコミュニケーション不足は、企業の効率と生産性に悪影響を与えます。

部下が上司の指示を待ち自発的に動かない

組織力が低い企業は、社員が自ら行動せず上司の指示を待っています。

このような姿勢では、部下の自主性が損なわれ、自分で問題解決や提案をする機会が減ります。

意見やアイデアを積極的に提案することを上司が歓迎して、社員が主体的に動ける環境を作ることが大切です。

変化することを恐れてリスクを取れない

組織力が低い企業は、新しいことに挑戦することを恐れ、それが成長の障害になっています。

あるビデオ・DVDのレンタルチェーン店は、リスクを恐れオンラインストリーミングという新しいトレンドに対応できませんでした。伝統的な店舗ベースのビジネスモデルに固執し続けたため、倒産してしまっています。

新しいアイデアや挑戦を避けて現状を変えたくないという考えでは、企業は時代のニーズに合わせて発展できなくなります。

組織力を高める方法

次に、組織力を高める具体的な方法を紹介します。

企業に理念やビジョンを浸透させる

企業の理念とビジョンを社員にしっかり理解させることは、組織力を高める重要な方法です。

理念とビジョンは、会社がどのように決断を下し、どんな文化を持つかを決める道しるべになります。これが浸透すると社員は仕事の意味や目的を理解しやすくなり、団結力が高まります。

具体的には、まず理念やビジョンを明確に定義しましょう。そして、まず経営陣が行動で示すことで社員の手本となってください。他にも、集会や社内報などを通じて定期的に理念やビジョンを伝えることも大切です。

失敗を歓迎する文化を作る

組織力を高めるには、失敗を恐れずむしろ歓迎する文化を築くことが重要です。

失敗から学ぶことで、社員は新しいことに挑戦する勇気を持てます。また、ミスを責めない環境を作ることで、コミュニケーションが活発になり、新しいアイデアが生まれやすくなるのです。

そのためにもまず経営陣が失敗を受け入れる姿勢を示し、社員にその価値を積極的に説明するようにしましょう。また、成功だけでなく失敗から学んだ教訓を共有することも効果的です。

チーム全員が業務の課題を把握する

組織力を高めるためには、全てのチームメンバーが業務の課題をしっかりと理解する必要があります。

課題を共有することで、チーム全員が解決策を見つける機会を得ます。

課題を説明するときに視覚的なツール(チャートやグラフ)を使い、複雑な問題も分かりやすく共有するといいでしょう。

経営陣は社員が解決策を気兼ねなく自由に発言できる場を作ってください。
問題について話し合える率直で誠実なコミュニケーションを取り合うことが大切です。

社員のモチベーションを上げる

組織の力を強化するには、社員のモチベーションを高めることが効果的な戦略です。個人がスキルを向上させ成長を実感することは、仕事への自信と効率を高めます。

具体例として、IBMは社員に対して、業界のトレンドに合わせてスキルを向上させるための継続的な学習機会を提供しています。社員は新しいスキルを習得し、専門知識を深められるのです。

社員のモチベーションを上げるために、個人の能力開発の機会を与えることが有効です。

部下が相談しやすい環境を作る

部下が気軽に相談してアドバイスを求められる環境は、組織力を高めるために欠かせません。

上司と部下が率直に対話でき、互いに信頼関係がある状態を作ることは、組織の帰属意識やチームワークを高めます。

まずリーダーが部下の問題や不安に耳を傾けることで、安心して意見を述べられる環境を作りましょう。例えば、上司が「いつでも話を聞くよ」と言ってくれると、部下は気兼ねなく相談できます。

定期的なチーム会議をおこなうことで、すべてのメンバーが意見を共有し、問題解決に参加する場を設けるのもよいです。問題や相談を切り出しやすい場を提供できます。

組織力を高めることに成功した企業事例

最後に、組織力を高めることに成功した企業事例を紹介します。

パナソニック

パナソニックは、共通のビジョンと価値観のもとに組織力を高めることに成功しています。

創業者の松下幸之助は、事業活動を通じて社会に貢献することを中心に据えた経営理念を作りました。この理念はパナソニックの社員に代々受け継がれています。

共通の価値観とビジョンは、組織全体の結束力を高め組織力を高めてきました。

特に、現代では、パナソニックの「One-Panasonic」という会が組織力強化に役立っています。これは、社員の知識や視野を拡大したり、人脈を形成したりするために立ち上げられた有志の会です。

他グループや他部署の人同士が交流する機会が生まれ、知識の共有や新しいプロジェクトの発足にもつながっています。他社員との交流を通して、同じ目線で語り合うことで、社員のモチベーション向上やよりよい組織作りにつながっています。

ホンダ

ホンダは、常にチームワークと協調性を重視して組織力を高めています。その中心的な考え方が「ワイガヤ」という文化です。

この文化では、上下関係をなくし、役職や部署に関係なく、すべてのメンバーが自由に自分の考えを述べられる雰囲気を大事にしています。

ここで出されたアイデアや解決策は上層部によって抑圧されることなく、むしろ奨励され議論されます。

このような文化により、社員の帰属意識を育み創造性とイノベーションを助長する雰囲気が醸成されています。役職に関係なく本音で語り合う文化により、革新的な製品につながっているのです。

メルカリ

メルカリでは、一人ひとりの自発的な行動が組織力を高めるものとして、「YOUR CHOICE」を導入しています。

この制度は、「Trust & Openness(信頼を前提としたオープンなカルチャー)」をもとに成り立っています。

どのような取り組み内容かと言うと、住む場所・働く時間を個人が自由に選択できるというものです。

働く時間であれば、24時間365日フレキシブルに働けるフルフレックス制度があります。また、一日の仕事時間を中抜けしたり、労働時間を増やしたり減らしたりして休みの日を自由に変えられる制度もあるのです。

成果にコミットするために個人が働き方を自由に選択できるようにすることで、組織力を高めています。

組織力を高めることは企業成長に欠かせない

組織力を高めることが必要である背景や、組織力が高い企業の特徴や高める方法を紹介しました。また、企業事例も解説しています。

現代社会は、変化の波が早く組織力を高めることで、柔軟に対応して企業として成長していけます。

具体的な組織力を高める方法を企業事例を参考しながら、自社の組織開発に役立てていただければ幸いです。

セミナーズ通信

年商5億円を超えさらなるスケールアップを目指す経営者必見!
あなたのビジネスをスケールアップさせる集客と組織作り、
さらに、成功事例やここだけのお得な内容をお届け致します。

最終更新日: 2024/04/19 公開日: 2024/04/19